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まぁ、インテリジェンスの特集だったんで読んでみた。麻生幾の「長い手」はおもしろかったね。まぁ、実績もある人だし、読み物としてはおもしろい。でも、ロシアに対して積極的な防諜活動を行ってきたのは、日本の公安だけではないよね。もうちょっと国際的な比較を入れた方がおもしろくなったんじゃないかな。もうね、インテリジェンスといえば、ロシアと北朝鮮と中国ぐらいしか問題にならないというところが現在のインテリジェンス議論の貧困なところだね。
春名先生の「グレートゲーム」もおもしろかったけれど、これまでの議論をまとめているという感じだな。情報としてはよくまとまっているんだが、全体としての構図が今ひとつ見えにくいね。いや、個々の事例の紹介はいいと思うんだが。NSPDの話とか、ギフェンの事件も非常に重要な話だ。でも、本当は希少資源をめぐる争いとしてグレートゲームを捉えるのは、視野が狭いと思う。現在日本でグレートゲームの議論を始めるのであれば、すくなくとも19世紀外交史から始めなくてはだめだね。グレートゲームの焦点は地域でいえば、どうしてもアフガニスタンを外すことができないんだ。重要なのはアフガニスタンの現在ではなく、歴史的経緯なんだな。そこを押さえていないところが残念だな。いや、こちらが勝手に残念に思っているだけなんだが(笑)。麻生元外務大臣の方がそこんところはよくわかっていらっしゃるんじゃないかな。なんたって「自由と繁栄の弧」だもんね。たぶん、春名先生の視点には「自由」っていう観点がぬけているから全体的なまとまりが悪いんだと思うがいかが?
まあ、ひどかったのが東谷暁。これは誰にでも言えることなんだろうけれど、自分の本棚を名著100選と思ってはいけないのではないかな。特に、専門外の人が。いや、排他的にインテリジェンスに関する記事を書いてはいけない、といっているわけではないんだ。たださ、もう少し勉強してから書いても良かったんじゃないの、ということがいいたい。英語が読めないもんで、知り合いに照会したんだが、やはり基本的な文献は相当欠けているとのことだ。一言で言おう。クリストファー・アンドリューの本がなんで一冊もないの?ばからしくってもうあくびも出ないよ。(たぶん知らなかったんだろうけど、こんなところがいかにもモグリっていう感じだな)。それにBSC関係もないなあ。須藤某なんてくずを出すぐらいだったら、ナイジェル・ウェストの序文のついたBSCの正史ぐらいあげておくべきではないの?と外人の知り合いはいってたな。山本石樹もないよね。「日本防諜史」は必須アイテムでしょうに。中野学校は関係者が戦後正史をつくっているんだけど、それもなし。一番の致命傷はプロパガンダ関係がボロボロなところだね。中西輝政教授に倣ってせめてミュンツェンベルグぐらいには言及するべきだったんじゃないの(え、中西御大の話はだしてくれるなですって、そうでした、そうでした(笑))。共産主義勢力のプロパガンダがないというのは、ほんと、片手落ちだね。某W大学のY教授を出した段階で終わってるって。
まぁ、こうしてみると東谷さんはどうも何もわかってないんだね。所詮諸君程度の読者が想像を膨らませるにふさわしい原稿だというのであれば問題ないけど。SF小説に毛が生えた程度というのが私の個人的評価かな。でも大丈夫なの?文藝春秋。さっきは「書いてもいいよ」ってかいたけれど、東谷さんは専門の経済の評論をやられたほうがいいんじゃないかなあ。そっちの方がたぶん世間的にも評価は高いはずだし。無知な分野で背伸びしなくてもいいと思うけどな。
小谷さんの「日本の情報体制」はおもしろかったね。とはいえ、PHPの提言書から続くこれまでの議論のまとめのような文章だったから、改めてわかったという新事実に乏しかったのは残念なんだが。それにしても「果たして日本に情報機関は必要なのか?」って質問されるなんて大変だなあと思う。ただ指摘で欠けていたのが時間軸なのかな。情報機関は他の国の情報をせわしなく集めるだけではなくて、長期的なトレンドの予測もしているもんなんだ。そうした国家の基本方針の基盤となる情報を集めるのもやっぱり情報機関の役割なんだよね。ただ単に対外情報というだけではなくて、もうすこしアメリカやイギリスの実務に即した話を入れておいた方がわかりやすかったんじゃないかな。たとえば、アメリカのNIEとか。まあ、これは素人の感想なんだけれど。
表紙にも出てるあちこち出ずっぱりの某スパイの対談は、最初は関西地方の大学教授との対談予定だったらしいね。相手に逃げられたらしいけれど(と、文藝春秋のとある人は話していた)。商売ももう少しで終わりですね。せいぜいがんばってください(笑)。

