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<タイ特派員さんより>5月19日は「ウエサク祭」である。タイは祝日。寺院では朝から人の出入り激しく賑やかな騒ぎとなる。そして満月の夜になるとタイ、チベット、日本、ミャンマー、スリランカで「魔王尊」に祈りが捧げられるのだ。
これは決して冗談では無く今から650万年前、有史以前から続いている由緒正しき祭りなのである。東南アジアではすべての寺院で夜通し読経が行われるが、日本では悲しいかな京都の鞍馬寺のみだ。
鞍馬寺……、どこかで聞いたような名だ。そう、鞍馬天狗の棲む場所、そして、源義経が幼い頃に天狗と修行した場所である、と言えば少し親近感を抱かれるだろう。実はこの鞍馬寺の本尊は、今から650万年前に金星から天降ってきた、サナート・クマラ、と言う大魔王なのだった。
一体このような壮大な空想科学を、はるか平安の義経以前から縷々と営み、守り続けているところが鞍馬寺の凄いところだ。この鞍馬寺の現実は、昨今の毛の生えたグローバル化で合理主義に染まった者にとっては、茶色の毛の現実と鞍馬寺の現実が交錯して脳が混乱するだろう。
この魔王尊、サナート・クマラは、鞍馬山の盤座(いわくら)に寄って地底へ入って行き、シャンバラ、と言う地下王国を作った。この地球内部の空洞に存在する地下王国には、超人(アデプト)たちが棲んでおり、地底から地上の凡人たち、正確に言えば「凡人の中で覚醒した者」の魂の進化をサポートしている。シャンバラは超電磁のため凡人には見えない。
そして地上には、魔王尊と超人たちが地球内部と地表を行き来するための出入り口が何箇所があるが、一つが日本の鞍馬山、もう一つがチベットのチョモランマである。ここで鳥肌がプツプツと立った方もいらっしゃるとか。
先日の中国大陸での聖火リレーでクライマックスとなった舞台は、世界最高峰であるチョモランマだった。またチベット人が中国共産党から守ろうとしたのもチョモランマであった。堕落したラマのチンポでは決して無い。
5月19日を中国共産党がチョモランマ登頂日に指定しなかったのは、チベット人にとって最も聖なる日に、最も聖なる山を汚すことによって、未来永劫に渡る怨恨をチベット人に抱かせないための配慮であったと思われるが、唯物論者も金持って現実と空想の区別が鈍ったのだろうか。
5月19日の満月の夜、鞍馬山とチョモランマは通底する。日本国での聖火リレーによる蹂躙で、自らの無力と母国日本の政治的妥協にズタズタに傷つけられた愛と誠は、鞍馬山に行ってみるのも良いだろう。現実と空想の判別付かぬ時間が、あの日聖火に焼かれたものを蘇らせてくれるかもしれない。
私はタイの僧侶たちの読経を聞きながら、満月を掠めゆく魔王の姿をバナナの葉陰から垣間見るだろう。
チベットの、勝利を願って。

