「みーっけ!」

肩をたたかれた。

「相変わらずラノベ読んでんの。いつになったらあなたは書くのよ」

呆然。
ここは某、密室の中。密室には三百人くらいの人がいるが、外に出ることは出来ない。

「それでラインに返事ないわけだ」

「いやー、お兄は絶対先頭にいるってわかってたから、一番最後に入ったから、絶対に割れないと思ってた。でもお兄は異常に勘が鋭いから、『協力者』に、私の調べをさせたかと思った-」

「おまえ今何時だと思ってるんだよ」

「日本時間で朝八時でしょ。私はずっと寝てて今起きた。そしたら、珍しく寝てないし。さっき反対側から見たのも気づかなかったでしょ。ニヤニヤしながらKindle読むのやめた方がいいよ。キモすぎだから。」

「俺は今から寝ようと思って。。。」

「今日は何杯目?」

「いや、今日、傷楽になるからボルタレンSR連投したら、空港行くとき血圧下がっちゃって、吐きそうでよ、しょうがねえからプリンペラン飲んで」

「ちょっと待った。トラムセットも飲んでるよね。飲み過ぎだよ、お兄はいつもオーバードーズ。」

「ちょい、気まずいから通路に行こう」

さすがにあまり他人に話を聞かれるのがまずい。俺は特命なんだし、ホントの予定は由真にも明かしてない。
真っ暗だったギャレーにいくと、お姉さんが電気をつけてくれた。お姉さんといっても、たぶん由真より5歳くらい上なくらいだろう。

「何かお持ちしますか」
にこやかな笑顔のお姉さんは、ちょっと俺たちを交互に見て、また、にっこり笑う。

「いや、こっちは」
由真を指さすと

「内緒で大丈夫です」
さすがだ。また『手が回っている』のか。

「私、水でいいです。兄。。いやこちらにはなにかワインでも」

「あ、適当なワインで。。。」
慌てて付け加える。

「お持ちしますね」
お姉さんは去っていった。

「ところで、ほかに何飲んでるの。まさかトリプタノールとサイレース飲んでるけど寝れないとかいうヤバイことしてないよね?」
由真の目が鋭い。

「在庫がありませんで。。。というか、薬なくて寝れるかと思って、ハルシオンはあるけど飲んでない」

「ミオナールは?」

「あれはもう切れてると思う。そもそも脳に作用しないからいいだろ」

「そういうもんだいじゃ、ない。ところで、ボルタレンそろそろ切れるよ。酒はやめないと」

「まぁ、飲まないと痛いだけだから、大丈夫。ていうかだな、俺はおまえの登場で動揺してんだよ。どういう予定なんだよ」

「予定も何も、全部知ってるし。宿泊人数はBooking.comに入って2名にしてあるから。きづかなかったんだね。」

「いつの間にハックしてんだよ」

「yuma0726、なんてアホなパスワードだからすぐ笑。メアドはいつもの奴でしょ。お兄のことなら、ぜーんぶわかってるもん-」

「で、日程は」

「まるっきり同じにできるよ。できなかったら、お兄がなんとかしてくれるだろうと思ってテキトーにとったけど」

「今回、言ってなかったことがある。一旦、アジトに荷物を放り込んでそのまま別のところに行く」

「おっ、面白そうだねえ。さすがは兄。」

本当は連れて行ってはまずいのだが、まぁ、いいか。俺だし。

「某国皇族にあいにいく」

そう言ったとき、ちょうどお姉さんが飲み物を持ってきてくれた。

「ごゆっくりおくつろぎください」

「すいません」
なぜか謝る俺。

「というわけで。また寝るよ。お兄もひと眠りしたら。一時間位しかねてないでしょ」

またとんでもない珍道中になりそうだ。。。