【Tの分析】英国のEU離脱・Brexitの完成に向けた動きに関する一考察

*Tより感謝のごあいさつ
「先日賜りました二階堂様をはじめ関係者の方々、拙稿をご覧になっていただいております皆々様の御厚情、大変ありがたく、ひじょうに助かりました。大変厳しい状況で切羽詰まった状態であるとはいえ謹んで感謝申し上げるとともに、今後とも御指導、御鞭撻賜りますよう切望致す次第でございます。」
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2019年12月12日、英国・庶民院(下院、定数650、小選挙区制)の選挙が行われた。
当該選挙は、事実上、ボリス・ジョンソン英首相・ジョンソン政権・保守党(正式名称 保守統一党 The Conservative and Unionist Party)の信任と欧州連合(EU)からの英国の離脱の是非を問う選挙であったといえよう。
そして、ボリス・ジョンソン英首相・ジョンソン政権・保守党が勝利をおさめた。
英庶民院の全650議席(過半数326議席)のうち、保守党=365議席(解散時、298議席)、労働党=203議席(解散時、243議席)、スコットランド民族党(SNP)=48議席(解散時、35議席)、自由民主党=11議席(解散時、21議席)、その他といった選挙結果であった。
解散前、保守党は庶民院で過半数を割っており、どの政党も過半数に達しない、いわゆるハング・パーラメントの状態であった。
そのため保守党は、民主統一党(DUP=Democratic Unionist Party、北アイルランド地域政党、プロテスタント系、ユニオニスト)との閣外協力で議会運営、政権運営を乗り切ることを試みた。
保守党と民主統一党は、北アイルランドに対する10億ポンド(およそ1420億円)の追加予算等のいくつかの合意をもって閣外協力関係を組んだ。
当該選挙によって、保守党は単独過半数を確保し、単独で政権を組むことが可能となった。
2020年1月9日、英国が欧州連合(EU)からの離脱を実行するための関連法案を庶民院を可決・通過し、2020年1月31日のEU離脱が事実上確定した。
英貴族院(与党保守党は貴族院で過半数を確保していない)は、英庶民院を可決・通過した英国が欧州連合(EU)からの離脱を実行するための関連法案に関して、在英EU市民の権利保護等、五件の法案修正を要求したが、庶民院は2020年1月22日に貴族院の法案修正の要求を否決した。
いわゆる「貴族院の劣後」・「庶民院の優越」、「議会運営・法案審議の慣行」に基づき、貴族院は庶民院の決定(貴族院の修正要求を否決)を受け入れ、庶民院との対決を避けた。
英国が欧州連合(EU)からの離脱を実行するための関連法案は、エリザベス女王の裁可の後(英女王・英王は議会通過した法案のすべてを裁可する。裁可しないとなれば、すわ一大事となる)、正式に成立することになる。
2020年1月31日24時(ブリュッセル・ベルギー時間、英国の時間では2020年1月31日23時になる)に、英国はEUの加盟国でなくなる。
だが、2月1日から大きな変化が生じるかといえば、それはほぼないものと思われる。
「EU離脱派」が、シャンペン、若しくはビールでEU離脱の実現に祝杯をあげる光景が展開されるだけであると思われる。
英国のEU離脱のPhaseが、2月1日からEU完全離脱までの「移行期間(EU加盟国ではなくなる=EUでの英国の投票権を喪失するといった程度であろう)」に移行する。
EUは、加盟国が28ヵ国から27ヵ国に減り、英国とEUの間でFTA(自由貿易協定)等の交渉、つまり、新たな英・EU関係の模索と交渉がすすめられてゆくことになる。
いわゆる「移行期間」は、現時点で2020年末が設定されている(今後の交渉や情勢次第で変更される可能性もなくはない。可能性としてはゼロとは言えない)。
今後、英国の眼前には、冬の北大西洋航路や北氷洋のような暴風雨の視界を得ることができない氷山や岩礁が突然出現するような荒海がひろがることになるのか。それとも夏の赤道直下の風も波もないベタ凪の海原なのか。それとも英国にとってオフショア市場やユーロドル市場のような宝島が視線の先に現れるのか。
今後、英国は海図のない未知の海域を航海することになる。

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