中共そしてシナ虫は滅びの時に来ている

勇ましいスローガンは気分を高揚させる。現下の米中対立、中共の香港介入と対外軍事圧力の高まりに対して、日本でも尖閣防衛の声が高まっている。
 確かに、現在の中共の東シナ海、南シナ海での軍事プレゼンスの増大は一線を超えるものであり、日本を含む周辺国の安全保障に重大な影響を与えている。国家間の明確なコンセンサスなしに地域バランスを一方的に変動させようとする企ては、ひいては関係国の安全、地域や世界の平和に対する挑戦であって、看過すべきでないことは当然である。
 しかし、そのような情勢を見るに当たっては、常に冷静に事象を分析すべきである。外国のイメージは、どうしてもメディアによって作られてしまう。よって、情報源は特定のマスコミに依存すべきでなく、複眼的視点から分析しなければいけない。世論はマスコミが煽り誘導することも多い。だから、熱狂の渦から距離を置き、多角的に検討しなければならない。技術上の制約を超える奇跡は当てにできない。なので、常に合理的に事象を把握すべきだ。

 先の大戦前、満州事変以後に次第に高まっていた国民の「熱」に火がついたのは昭和12年の盧溝橋事件が発端といえる。このとき、日本の新聞各社は政府に先立って「暴戻支那ヲ膺懲ス」と呼号した大カンパニアを展開し、徹底した排外主義を煽り立て、世論の対中排外主義を煽り立てた。先の大戦に国民を煽り立てたのは、「日本軍国主義者」だけではない。朝日新聞や東京日日新聞といった新聞メディアが果たした役割は非常に大きい。

 今の時代は新聞とニュース映画、ラジオしかなかった先の大戦当時とは違い、情報流通の経路は多様化し、流通の速度も考えられないほど速くなった。しかし、今回のコロナ騒動で明らかになったように、情報流通経路の多様化と流通速度の高速化は、必ずしも、正しい情報が迅速に伝わることで冷静な世論が形成されるという結果をもたらさなかった。先の大戦と同様に、メディアに煽られ、「情報」に踊らされ、合理的とは到底いえない行動をとる「大衆」が社会の大勢を占める現状がある。
 だからこそ、冷静に物事を見なければならない。観察者は、「熱狂」が高まれば高まるほど、冷めていなければならない。

 今月16日には、中国の禁漁期が明けて、尖閣諸島周辺に中国漁船が大挙してやってくる。一部マスコミや週刊誌の報道で、次第に緊張の高まりを感じる。だが、「中国の禁漁期」とは何なのか。
 中共の農業農村部webに、「农业部关于调整海洋伏季休渔制度的通告 农业部通告〔2018〕1号」というのがある。これが「中国の禁漁期」を規定する国家通達だ。
http://www.moa.gov.cn/nybgb/2018/201803/201805/t20180528_6143235.htm
 「2018」とあるとおり、この通達は2018年に発出されたもので、その前に出た同種通達は2011年のものである。だが、思い起こしてみると、2018年、そして昨年2019年、尖閣諸島周辺に中国漁船は大挙してやってきただろうか。
 10日に時事通信社が興味深い記事を配信した。曰く「片道2日を要する尖閣沖への出漁は一部大型漁船を除くと「そんなにもうからない」(漁民)のが実情。必ずしも積極的ではなく「当局の指示次第」のようだ。」とある。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ab49ae93b80f554fbaf4b6f8b11d434263f53885
 既に御理解のとおり、尖閣諸島周辺に中国漁船が来るか来ないかは、漁民の都合ではなく、中共当局のさじ加減一つということだ。

 今年は、日本に揺さぶりをかけ、日米離反、日台離反を謀るため、中共が尖閣諸島周辺に漁船団を入れてくる可能性が高いだろう。その中で小競り合いが起こることも当然想定される。
 だが、観察者が冷静に見るべきは、尖閣諸島周辺での個々の事象ではなく、その事象を生起させた中共中央の狙いがどこにあるのか、ある事象を起こした影響がどこに波及し効果を生むのを狙っているのか、そこにある。
 台湾海峡の北端側には尖閣、南端側には東沙諸島がある。台湾海峡を管制下におくために、最終的には中共はこれら方面に進出を指向することは疑い得ない。そのときにどう対応するのか。周辺国や合衆国の懸念は、そこにある。

 中共の日本への浸透については、二階に代表される親中派の存在を合衆国も問題視していることが公然化されたこともあり、相当明らかになった。当然に、中共は日本の国内世論の攪乱も狙い、常に動いていると見るべきだ。だからこそ、冷静に物事見る必要がある。
 中共は、尖閣諸島周辺での騒乱状態の中で、あわよくば日本が先に手を出すことを狙うだろう。国際世論を見方に付けることはできなくとも、中立化させるためにも必須なポイントだからだ。これから中共の圧力の程度は、日本世論を見ながら上がり下がりするに違いない。そうしておいて、日本世論が沸騰し「暴支膺懲」の世論を政治がコントロールできなくなる局面が生じれば、それはそれで中共にとってのチャンスでもある。

 中共の対外軍事圧力の伸張は、日本の安全を脅かすもので、断固対処すべきだ。だが、連中は長い期間をかけて今の絵姿を描いてきた。我々の対処は、その土俵に乗ってはいけない。連中の一枚も二枚も上手をいかねばならず、だからこそ、冷静に物事を見なければならない。