【荒巻泰士】健全なマスコミ批判のために ①

初めまして。この度、二階堂.comの厚意で、この欄の一部を貸していただけることになりました「荒巻泰士」と申します。不定期ではあるが、おかしな記事を取り上げ、裏の意図などについて、解説していきたいと思っております。時折、おつきあいいただけると幸いです。

-----------------------

昨年の大晦日の晩、ドイツのケルンで、地元女性が次々と難民らに襲われた。被害届は600件を超えたというから、かなりの規模だ。難民排斥の風潮が一挙に高まり、ケルンではデモ隊が、警官隊と衝突する騒ぎになった。

これらを当時、日本の自称「リベラル系」メディアはどう報じたか。例えば、東京新聞は1月13日の社説で次のように主張した。

「言語道断で捜査や処罰は必要だが、難民差別につながらぬよう冷静さを保ちたい」

「事件に乗じて、難民や移民への憎悪をあおることがあってはならない」

他のメディアもほぼ同じだった。要は、「罪を犯す人間がいたからといって、その人間が所属するグループ全体を犯罪人集団のように取り扱うのはおかしい」という主張だ。

私は、奇麗事過ぎるとは思うものの(ドイツの昨年までの難民受け入れ方針にも問題があったと考えているからだ)、それでも「罪を犯した人間が所属する集団を即、犯罪人集団のように扱うのは問題」という部分については、ひとつの見識と思っていた。

ところが・・・・リベラル系メディアの「お上品な理屈」は、適用相手を選ぶようだ。

沖縄県うるま市の女性が殺害された事件で、19日に米軍軍属が逮捕されると、各新聞には次のような文言が踊った。

「米軍基地があるために犯罪が繰り返される」(東京新聞)「基地を減らすしかない」「怒り沖縄だけじゃない 米軍関係者による犯罪被害者ら」(朝日新聞)

まるで、沖縄にいる米兵全てが、性犯罪者か性犯罪者予備軍のようだ。そこには、「処罰は必要だが、冷静さを保ちたい」と主張した際の「お上品さ」は欠片もない。化けの皮がはがれるとはこのことだ。

言い方を換えよう。何人でもいいが、例えば、在日韓国人の1件の犯罪をきっかけに、次のようなフレーズが飛び交ったら、リベラル系メディアはどう反応するだろうか。

「在日がいるから犯罪が繰り返される」「在日は国に送り返すしかない」「怒り、○○だけじゃない。在日○○人による各地の性犯罪被害者ら」

それこそ、彼らの中で流行中の「ヘイト○○!」として、口汚く罵るのではないだろうか。なぜ、在日○○人では許されず、米軍なら「当然」なのか。

勘違いしないでほしいのは、殺害された女性は同情するに余りあるし、遺族や友人知人が憤るのは分かる。米軍軍属は厳しく処罰されるべきだ。しかし、事件がなぜ、「全ての米兵出て行け」に直ちに結びつくのか。テレビに至っては、友人でも何でもない、モロに左翼活動歴があり公安部がマークしている女子大生の扇情的な言い分を垂れ流し、まさに「事件に乗じて、憎悪をあおっている」状態、イエロージャーナリズムそのものだ。

 

なぜ、このように偏った報道が大手を振ってまかり通ってしまうのか。

メディアの内情については、追って説明するとして、もう一方の原因は、このような世論誘導に簡単に引っかかる市民が多いという点にある。私は、メディアに籍を置く人間だが、皆さんには是非、手強いメディアの批判者になってほしいと思っている。それも、見当違いの批判や、「マスゴミ」などと悪口を言うだけではない、健全で鋭い批判者になってほしいと思っている。世論を誤誘導するような報道があっても、意図を見抜く市民が増えれば、そのようなメディアの影響力は相対的に落ちていく。回り道に見えても、その方が早いと私は考えている。

------------------------------

※この投稿では注釈のない限り、新聞記事は各紙の東京本社版最終版からの引用とします。

-荒巻泰士