「荒巻泰士」 一覧

【荒巻泰士】②オバマの広島訪問が照らし出した「思わぬもの」

2016/06/20 13:12   -荒巻泰士

オバマ米大統領が先月27日、現職の米大統領として初めて、広島を訪問しました。謝罪はしませんでしたが、日本国内では、リベラル系のメディア・知識人を含め、評価する声が圧倒的でした。例えば、訪問翌日の各紙の朝刊には「決断を評価したい」「歴史の一章として特筆される」などの文言が並びました。

被爆者が全く謝罪を求めていなかったわけではありません。例えば、共同通信が実施した被爆者アンケートでは、確かに78%が「謝罪を求めない」としたものの、15%は「求める」と回答していました。それでも、決してあの国のように「謝罪と賠償をしないなら来るな」とか「オバマは被害者の前にひざまずけ」とは誰も言いませんでした。世論調査でも「訪問を評価する」は軒並み90%台となり、「評価しない」は数%でした。

 

「決してあの国のように」と言うと、ネタと思う人がいるかもしれないですね。でも、あの国の被爆者でつくる団体は広島訪問の前日、ソウルで記者会見を開き、本当に、米国に謝罪と賠償を求めました。もう笑うしかありません。

そもそも、あの国では、広島訪問の前後、「日本が被害者になりすまそうとしている」などの、常軌を逸した社説・論評の類いが飛び交いました。日本人なら誰が見ても、呆れるか激怒するような内容です。日本では「なぜか」ほとんど報じられませんでしたが。

 

脱線した話を元に戻すと、謝罪がなくても将来志向だとして、ほとんどの日本国民が広島訪問を高く評価したことについて、私は「これこそが日本国民の良識を示すものだ」と思っています。

だからこそ、リベラル系のメディア・知識人が、昨夏の自分たちの発言との整合性をどう取るつもりなのか、気になってしょうがないのです。

 

昨夏、安倍首相が戦後70年の談話を出した時、国内のリベラル系は、どう論評したでしょうか。

「十分とは言えない」(毎日新聞)「主体が明確でない」(東京新聞)

一番酷かったのは朝日新聞でした。「いったい何のための、誰のための談話なのか。この談話は出す必要がなかった。いや、出すべきではなかった」と書きました。

 

言うまでもないことですが、日本はこれまで何度も謝罪し、賠償もしてきました。それでも、謝罪の言い回しが明確でないとか、賠償が十分でないなどとして批判したわけです。それならば、戦後71年間、1度も謝罪せず、今回も謝罪をしなかったオバマに対しても「この声明は出すべきではなかった」くらい言うべきではないでしょうか。

 

「安倍の談話は、内容がいかなるものであろうと批判する」。そういう方針が先にあり、後から理屈をつけるからおかしなことになるのです。この二重基準について、いかなる言い訳が成り立つのか。是非、朝日、毎日、東京の論説委員様には、お話を伺いたいところです。

それとも、「そうではない。オバマの声明に対しても批判しているから矛盾はない」と主張するのでしょうか。それは、自分たちが実は、極めて偏った少数派・ノイジーマイノリティーであることを認めることになるのですが、どうされますか、朝日、毎日、東京の論説委員様。

 

オバマ大統領が広島を訪れたからといって、核廃絶実現への効果はそれほど期待できません。一方で、今回の訪問は、歴史問題を政治カードにしてきた国々の卑しさや、それら国々の尻馬に乗り、活動してきたリベラル系の矛盾を見事に照らし出しました。

彼らは今後、日本国内ではやりづらくなるはずです。アメリカは実はそこを狙い、このタイミングで、動いたのか。それは、考え過ぎかもしれませんが・・・考え過ぎでなかったとしたら、やはりあの国は賢いのです。

そうです。アメリカは、国として韓国を切り捨てたのです。

【荒巻泰士】健全なマスコミ批判のために ①

2016/05/27 07:00   -荒巻泰士

初めまして。この度、二階堂.comの厚意で、この欄の一部を貸していただけることになりました「荒巻泰士」と申します。不定期ではあるが、おかしな記事を取り上げ、裏の意図などについて、解説していきたいと思っております。時折、おつきあいいただけると幸いです。

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昨年の大晦日の晩、ドイツのケルンで、地元女性が次々と難民らに襲われた。被害届は600件を超えたというから、かなりの規模だ。難民排斥の風潮が一挙に高まり、ケルンではデモ隊が、警官隊と衝突する騒ぎになった。

これらを当時、日本の自称「リベラル系」メディアはどう報じたか。例えば、東京新聞は1月13日の社説で次のように主張した。

「言語道断で捜査や処罰は必要だが、難民差別につながらぬよう冷静さを保ちたい」

「事件に乗じて、難民や移民への憎悪をあおることがあってはならない」

他のメディアもほぼ同じだった。要は、「罪を犯す人間がいたからといって、その人間が所属するグループ全体を犯罪人集団のように取り扱うのはおかしい」という主張だ。

私は、奇麗事過ぎるとは思うものの(ドイツの昨年までの難民受け入れ方針にも問題があったと考えているからだ)、それでも「罪を犯した人間が所属する集団を即、犯罪人集団のように扱うのは問題」という部分については、ひとつの見識と思っていた。

ところが・・・・リベラル系メディアの「お上品な理屈」は、適用相手を選ぶようだ。

沖縄県うるま市の女性が殺害された事件で、19日に米軍軍属が逮捕されると、各新聞には次のような文言が踊った。

「米軍基地があるために犯罪が繰り返される」(東京新聞)「基地を減らすしかない」「怒り沖縄だけじゃない 米軍関係者による犯罪被害者ら」(朝日新聞)

まるで、沖縄にいる米兵全てが、性犯罪者か性犯罪者予備軍のようだ。そこには、「処罰は必要だが、冷静さを保ちたい」と主張した際の「お上品さ」は欠片もない。化けの皮がはがれるとはこのことだ。

言い方を換えよう。何人でもいいが、例えば、在日韓国人の1件の犯罪をきっかけに、次のようなフレーズが飛び交ったら、リベラル系メディアはどう反応するだろうか。

「在日がいるから犯罪が繰り返される」「在日は国に送り返すしかない」「怒り、○○だけじゃない。在日○○人による各地の性犯罪被害者ら」

それこそ、彼らの中で流行中の「ヘイト○○!」として、口汚く罵るのではないだろうか。なぜ、在日○○人では許されず、米軍なら「当然」なのか。

勘違いしないでほしいのは、殺害された女性は同情するに余りあるし、遺族や友人知人が憤るのは分かる。米軍軍属は厳しく処罰されるべきだ。しかし、事件がなぜ、「全ての米兵出て行け」に直ちに結びつくのか。テレビに至っては、友人でも何でもない、モロに左翼活動歴があり公安部がマークしている女子大生の扇情的な言い分を垂れ流し、まさに「事件に乗じて、憎悪をあおっている」状態、イエロージャーナリズムそのものだ。

 

なぜ、このように偏った報道が大手を振ってまかり通ってしまうのか。

メディアの内情については、追って説明するとして、もう一方の原因は、このような世論誘導に簡単に引っかかる市民が多いという点にある。私は、メディアに籍を置く人間だが、皆さんには是非、手強いメディアの批判者になってほしいと思っている。それも、見当違いの批判や、「マスゴミ」などと悪口を言うだけではない、健全で鋭い批判者になってほしいと思っている。世論を誤誘導するような報道があっても、意図を見抜く市民が増えれば、そのようなメディアの影響力は相対的に落ちていく。回り道に見えても、その方が早いと私は考えている。

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※この投稿では注釈のない限り、新聞記事は各紙の東京本社版最終版からの引用とします。