こぐまのさんぽ
「はるは、もうすぐだね」
こぐまが、おかあさんにいいます。はやくそとにでたいのです。
でも、おかあさんは
「まだたべものがないから、もうすこしねてようね」
といって、そとにだしてくれません。
「じゃあ、たべものをさがしてきてあげるよ」
おかあさんがとめるのもきかず、こぐまは、外に飛び出していきました。
「うわあ」
こおったゆきで、巣からずいぶんしたまで、おちてしまいました。
「でも、食べ物はありそうだぞ」
いちばんしたは、ゆきがとけていました。
どぉおおん。
遠くから、よにもおそろしい音がしました。
しばらくすると、おとのするほうからいのししが来るのがわかりました。大きなイノシシです。
「こんにちはいのししさん」
「にんげんがこっちに来る。まだ出て来ちゃダメだ。早くおうちにもどらないと、ころされちゃうよ」
そういって、いのししは、やぶのなかににげてしまいました。
「どうしよう。おうちがわからないや」
すのある上をめざして、のぼりはじめます。
すると、かわがありました。
どおおおん。
また、おそろしい音がしました。
おとのしたほうから、こんどは、カモシカがやってきました。
「こぐまくん、どうしてでてきたの?はやくおうちにおかえり」
「おうちがわからなくなって」
「ここをずっと上にのぼったところがおうちだとおもうよ」
「ありがとう」
カモシカは、あっという間にいなくなってしまいました。
かわをみると、さかながおよいでいます。こぐまは、おかあさんがやっていたように、かわでさかなをすくうようにして、さかなをとりました。とうみんでおなかがぺこぺこだったこぐまは、なんどもさかなをとります。
どおおおおおおん
おおきなおおきなおとが、こぐまのおなかにひびきました。
こぐまはすごくねむたくなりました。
「おうちにかえるまえに、すこしねよう」
にんげんがこっちに来るのが見えましたが、とてもねむたくて、こぐまはめをとじて、おかあさんのゆめをみていました。
おしまい