ドーナツ
「あのくもはなんだろう」
かめのナイトは、ふしぎなくもをみつけました。ナイトの大好きな、ドーナツとおなじかたちをしていたのです。
ナイトは、おともだちにしらせることにしました。
「そらにドーナツがあるよー」
おともだちのいえをまわって、くものことをしらせます。
ひろばにおともだちがあつまってきました。
「へえ、でも、あれはたべられないよね」
きつねのコフィーは、そらをみあげていいました。
「ドーナツより、くものわたあめをたべたくなったわ」
ウサギのサーニャは、ナイトをみて、いいました。
ひろばにあつまってきたほかのおともだちも、ドーナツくもをながめて、それぞれたべたいものをいいました。
くもは、すこしずつ、みんなのいるひろばにちかづいてきました。
いちばんさいごにきた、カラスのドンラは、ドーナツくもをみて、
「みんな、すぐにうちにかえるんだ!」
と、あわてていいました。
ナイトは、
「せっかくみんなであそんでいるのに、なんでそんなことをいうの」
と、かなしいきもちになりました。
ドンラがあまりにもおおさわぎするので、おともだちはみんな、しぶしぶいえにかえります。
ナイトは、おなかがすいてきました。
「みんなかえっちゃったし、ぼくもかえろうっと」
うちにかえるとちゅう、やっぱりドーナツくもをみたくて、ナイトはふりかえりました。
ドーナツくもは、とてもおおきく、なんだか、くろくなってちかづいてきています。
「はやく、うちに、かえれー」
ドーナツくもは、ナイトにおおごえで、いいました。
「どかーん」
あたりいちめんにひびきわたる、かみなりがなって、すごいあめがふってきました。
ナイトは、なんとか、あめにあわず、おうちにかえりました。
「ドンラくんが、うちにかえれってさわぐものだから、みんなかえってきたんだ」
と、いいました。
おかあさんは、ナイトのはなしをきいてから、やさしく、
「ドーナツくもは、くろくなると、あめがふるのよ。ドンラくんのおじさんは、カエルのボーさんだから、あめがふるくもがわかるのよ」
と、おしえてくれました。
ナイトは、おやつのドーナツをたべながら、
「こんど、ドンラくんにありがとうっていおう」
と、おかあさんにいいます。
そとは、あめが、やんでいました。