【Tの分析:海運もインテリジェンス】スエズ運河での大型コンテナ船座礁事故を巡る損害賠償の動きに関する一考察

今回、スエズ運河においてエバーグリーン(EVERGREEN)がオペレート・運航する大型コンテナ船(本船名 エバー・ギブン EVER GIVEN)の海難事故・座礁が生じたことで、国際海上輸送、いわゆる国際的なサプライチェーン等に関するリスク、問題点、脆弱性に関し一般的な大きな関心や注目が集まったといよう。
特に、当該海難事故・座礁が生じたスエズ運河を筆頭にパナマ運河、北海・バルト海運河等の主要ないわゆる「国際運河」、「国際河川(ドナウ川、ライン川、ナイル川、メコン川、ラプラタ川、ユーフラテス川、ガンジス川等)」、そしてホルムズ海峡(ペルシャ湾・オマーン湾を結ぶ)、マラッカ海峡(太平洋・インド洋を結ぶ。マレー半島とスマトラ島の間)、ロンボク海峡(バリ島とロンボク島間。太平洋・インド洋を結ぶ)、マカッサル海峡(カリマンタン島とスラウェシ島の間。太平洋・インド洋を結ぶ)、ジブラルタル海峡(大西洋・地中海を結ぶ)、ボスポラス海峡(黒海・マルマラ海を結ぶ)、スカゲラク海峡(バルト海・北海を結ぶ)等のいわゆる「国際海峡」等のリスク、問題点、脆弱性等に関して一般的な大きな関心と注目が集まったといえよう。

現在の国際的な海上輸送・海運を支えているさまざまな「航路」は、少なくともいわゆる「大航海時代」から現代までの海上交通・海上輸送・海運の歴史、つまりさまざまな「航路開拓・航路開発」のプラクティスの積み重ねであるといえよう。

いわゆる冒険商人等をはじめとする様々な人たちの挑戦・ベンチャー等、航路開拓・航路開発のさまざま調査・研究・データー・情報等の蓄積(海底等の地形・水深等の地形・地勢データー等、気候・気象・海流・潮の干満・風向き・風力・台風・ハリケーン・流氷・地震等による津波等の影響等、クジラを筆頭とする海洋生物等の生態研究、流体力学等の基礎科学、船舶関連の応用科学等々の様々な学術研究をはじめとするさまざまな調査・研究等々)、さまざまな教訓(海運・造船・漁業等の海洋関連産業の従事者・コミュニティー等の慣習、伝承・伝説・言い伝え等も含む)等、そして経済合理性(コスト・便益等)等から、現在の様々な「航路」が形作られていることは言うまでもない。

そして、それらの主要な航路・水路を概観しただけでも、現在の国際海上輸送・海運で利用されているそれらの主要な「航路・水路」は、一般に考えられているほど「幅」の広いものではないことを確認できるものと思われる。
年々、国際海上輸送量・物流量(特に国際コンテナ輸送)は増加しており、国際海上輸送に供される本船・船舶の大型化が試みられている(いわゆるオーバーパナマックス等の巨大コンテナ船はアジア・北米間の輸送サービス、太平洋・インド洋圏でのみのサービスに特化することを想定した本船として建造され、もちろん採算がとれると考えられて建造される等)。

そのような傾向の国際海上輸送・海運を考えただけでも、航路の水深・海流・風・航路整備(関係国の航路管理、海賊・武装勢力・組織犯罪等に対する関係国の海上セキュリティー体制、海上交通管理、海難救助体制等のサポート体制等々)等の様々な点、様々な制約化に形成・構築されている現在の主要な「航路」は「広い海」の中でごく限られたものであり、「航路の幅」も一般に想像されるものとは違っていることはすぐに確認できるものと思われる。

確かに広い海ではあるが、陸上の「陸の道」と同じように「海の道・航路・水路」もイメージとは違って限られたものであるといえよう。
通常の「海の道・航路・水路」を少し外れただけでも、様々なリスク(海難事故・遭難をはじめとする様々なリスク)が増大するのである。
https://www.j-cia.com/archives/16878